今度は玄関の外を確認したい
最近の親父殿は、「外を確認したい」という気持ちがどんどん強くなってきている。
以前までは、誰もいないはずの庭や窓に向かって「誰かが見てる」「あそこにいた」などと騒いでいたが、それも窓に補助錠を取りつけたことで一段落。
…したと思ったら、今度は玄関に意識が向いたらしい。
朝から晩まで、親父殿は玄関のあたりを行ったり来たり。
一時間に5〜6回はガチャッと扉を開け、「誰か来てないか」「表を見てくる」と外をうかがう。
たまに在宅で仕事をしているわたしにとっては、玄関の鍵の音やドアのきしむ音が地味にキツい。
パソコンに向かって集中しようとしても、
「ガチャッ」→「キィィ…」→「バタンッ」→「ガチャッ」→「キィィ…」……という無限ループ。
まるで玄関が「今日の関心スポット」になってしまったような有様だった。
試しに鍵を二つにしてみた。
といってももともと鍵は二つあるのだが、下側の鍵は使っていなかったのだ。
すると、親父殿は上の鍵だけ開けて、下の鍵に気づかず困惑するようになった。
何度かトライするも、開けることができない。
そして最終的には「なんで開かないんだ」とブツブツ言いながら、少し落ち着いて戻ってくる。
抑肝散を服用する前だったら親父殿は玄関でブチギレていただろう。
どうやら認知症になると、「鍵を2つ開けてからドアを開ける」という複数の手順が難しくなるようだ。
これが結果的に、外を確認したい欲求の抑止になった。
ただ、問題は「音」だった。
鍵は開けられないようになったが、ドアノブを押すガチャガチャ音やドアを揺らす音がとにかくうるさい。
しかも、1日に何十回も繰り返すので、わたしの神経はどんどん削られていく。
これはなんとかしないと仕事にも差し支える…。
で、たどり着いたのがシリコーングリスとゴムの緩衝材。
シリコングリースがドアノブや鍵の可動部やラッチなど金属同士の摩擦音を軽減。
ゴムの緩衝材がドアと枠がぶつかる音を軽減。
これをドアノブの可動部や、扉の当たる部分に貼ってみたところ、あの耳につく「ガチャガチャ音」がかなりマシになった。
まったくの無音にはならないが、仕事に集中できるレベルまで静音化されたのは大きい。
「音」は見落としがちなストレス。
介護では「転倒防止」や「徘徊対策」などが真っ先に思いつくが、今回のような「音のストレス」もかなり影響が大きい。
親父殿の異常行動を防ぎつつ、こちらの生活リズムや精神状態も守っていかないと、いずれ共倒れになってしまう。
親父殿は今日も何度も玄関を見に行く。
鍵は開けられないし、音も控えめになった。
でも、それでも気がすまないのか、ガラス越しに外をじっと見つめている姿を見ると、ちょっと切なくなる。
「誰か来たか?」「今、物音がした気がする」
そんな言葉を繰り返す親父殿に、「ここはあなたの家だから大丈夫」と、今日もわたしは何度も伝える。
それが、わたしたち親子の日常だ。
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