認知症対策

窓にすりガラス風フィルムを貼った

PM9:00。
いつもより遅く帰宅し玄関の前に立つと、家の中から怒鳴り声が聞こえる。

 

「おい、そこにいるのは誰だ! 出てこい!」

 

慌てて様子を見に行くと、親父殿がダイニングの窓に向かって睨みつけていた。

 

けれど、そこには誰もいない。
ただ、夜の暗さに反射した、自分自身の姿が映っているだけだった。

 

しばらく前から窓に映る自分の姿を「誰かが外からこっちを見ている」と思い込み、怒鳴ったり、窓に近づいて手を伸ばしたりすることが増えてきた。

 

そのため窓にマスカーテープを貼って反射を防いたのだが、さすがにそう長くはもたなかったようだ。
おそらく少しめくれた部分を親父殿が引っ張ってビニール部分が大きく裂けてしまったのだろう。

 

テープが剥がれた部分から反射した自分の姿をまた「他人」だと思い込み、親父殿はいまも怒鳴っている。

 

これはもう、ちゃんとした対策が必要だと判断した。

 

とりあえずマスカーテープを貼り直し、親父殿を落ち着かせる。

 

いろいろと検討の末、窓にすりガラス調のフィルムを貼ることにした。

 

リビングやダイニング、洋室にある大きめの掃き出し窓とトイレやキッチン、廊下の小窓は、業者に頼んで仕上げてもらった。
予算削減のため、わたしの仕事部屋はAmazonでポチッたモザイク調フィルムを貼ることに。

 

親父殿がいつも座っているダイニングの窓には、少し工夫も加えた。

 

下の1/3だけフィルムを貼らずに残し、庭の植物が見えるようにしたのだ。
ちょうどその部分には親父殿の足元しか映らない。

 

だから、反射しても「誰かがいる」とは思わないだろう。
それに少しでも庭が見えれば気持ち的にも開放感があるだろう。

 

地元の業者に依頼をすると、すべての窓を対策するには費用は48,500円ほどかかるようだった。
決して安くはなかったけれど、これで親父殿が毎晩怒鳴らずに済むなら安いとも思えた。

 

さすが業者の作業は早く、半日もかからずにすべての窓のフィルム貼りが完了した。
意外にも親父殿は作業を楽しそうに見守っていた。

 

ちなみに、わたしの仕事部屋の窓にモザイク柄のフィルムを自分で貼るのには3時間かかった。
不器用ながらも何とか貼り終え、今ではちょっとした満足感すらある。

 

費用面をのぞけばいい買い物だったと思う。
見栄えは格段によくなったし、すりガラス調のフィルムは光をやわらかく拡散してくれるので、家の中がより明るくなった。

 

外から中の様子も伺えないので、防犯面でも安心感がある。

 

そしてなにより、親父殿が落ち着いてくれた。
夜になっても、窓を見て誰かを怒鳴ることはなくなった。

 

やはり付け焼刃の対策でごまかし切るのはムリなのだと改めて実感した。
わたしの「当たり前」はもう親父殿にとってはそうじゃないということを、忘れないようにしたい。

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