認知症対策

「認知症ってなに?」-家族の介護を経験して思うこと

認知症と診断された

「最近、母が同じ話ばかりするようになってきたんだよね…」
「夕飯を食べたのに、“まだ食べてない”って怒り出しちゃって…」

 

そんな話、身近で聞いたことありませんか?もしかしたら、あなた自身がいま体験していることかもしれません。
こんにちは。私は40代の男性で、数年前から在宅で父の介護をしています。父は70代半ばで認知症と診断されました。最初は「ちょっと物忘れが多いな」くらいだったんですが、気づけば日常生活に支障が出るほどになっていました。

 

今日は、そんな経験を通して感じた「認知症ってなに?」ということを、専門的すぎない言葉でお話ししたいと思います。

 

■ 認知症は「物忘れ」だけじゃない

まず多くの人が、「認知症=物忘れ」と思っているかもしれません。
もちろん、物忘れはわかりやすいサインのひとつです。でも、認知症はそれだけじゃありません。

 

父の場合、最初は「財布がない」「鍵が見つからない」など日常的な物忘れから始まりました。だけど、それがだんだんと、「ご飯を食べたのを覚えていない」「買い物に行ったのを忘れる」になっていき、やがては「今日は何曜日?」や「今どこにいるの?」といった、時間や場所に関する感覚もあいまいになってきたんです。

 

認知症って、ただの記憶の問題じゃなくて、「判断力」や「理解力」、「感情のコントロール」にも影響を与えるんですよね。

 

■ 誰にでも起こる可能性がある

「うちの家族は元気だから大丈夫」って思っていませんか?
でも、認知症は特別な人だけがなる病気じゃないんです。年をとれば誰にでも起こる可能性がある、ごく普通のことなんです。

 

実際、日本では65歳以上の7人に1人が認知症だと言われています(※2025年には5人に1人とも)。つまり、家族や友人、近所の誰かが認知症になってもまったく不思議じゃないんですよね。

 

わたしも父が診断されたときに「まさかうちの父が?」と驚きました。でも、今思えば、ちゃんと知識を持っていればもっと早く気づけたし、父も安心できたかもしれません。

 

■ 認知症には種類があるって知ってましたか?

実は認知症にもいくつか種類があるんです。

 

代表的なのが「アルツハイマー型認知症」。これは、脳の中の神経細胞が少しずつ壊れていくタイプで、物忘れから始まり、だんだんと日常生活が難しくなっていきます。

 

他にも、脳の血管が詰まって起こる「脳血管性認知症」や、幻覚が出たり体がふらついたりする「レビー小体型認知症」などがあります。

 

難しい名前ですが、ここで大切なのは「認知症にもいろんなタイプがあって、それぞれ特徴が違う」ということ。症状の出方や、接し方も少しずつ変わってくるんです。

 

■ 早めに知ることが、本人も家族もラクになる

わたしがいちばん後悔しているのは、「もう少し早く病院に連れて行けばよかった」ということ。
「年だから仕方ないよね」と見過ごしていた時期が長かったんですよね。でも、早期に診断を受けると、薬や生活習慣の見直しで進行をゆるやかにできることもあります。

 

それに、本人も「なぜうまくできないのか」がわからないままでは、すごく不安なんです。
病名がわかることで、「自分が悪いんじゃない」と安心できる。これはとても大きいと思います。

 

■ 「理解しよう」とする気持ちが、いちばんの支え

認知症の方と向き合う中で、いちばん大切だと感じたのは、「理解しよう」とする姿勢でした。
忘れてしまう、怒ってしまう、うまく伝えられない――。それはすべて「病気のせい」なんですよね。

 

ついイライラしてしまうこともあります。でも、「今のその言葉には、どんな思いがあるんだろう?」と想像してみるだけで、こちらの対応も変わってきます。

 

わたしはまだまだ未熟な介護者ですが、父の笑顔を見るたびに、「一緒にいられてよかった」と思えた日々でした。

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