「兄弟姉妹との温度差」-家族の足並みがそろわないときにできること
わたしは一人っ子なので、親の介護について兄弟姉妹と意見がぶつかるような経験はありません。
でも、同じように親の介護をしている人たちの話を聞くと、「兄弟姉妹との温度差」で悩んでいる人が本当に多いんですよね。
■ 上司のケース:三者三様の意見のズレ
わたしの職場の上司もそうでした。
お父さんが認知症を患って介護が必要になったとき、3人兄妹で話し合いの場を持ったそうなんです。
でも、兄は「できるだけ自宅で世話をしてあげたい」、妹は「すぐにでも施設を探すべき」、そしてその上司は「できることはするけど、仕事もあるし現実的に無理がある」と三者三様。
結局、話し合いは何度しても平行線で、しばらくはギクシャクした空気が続いたそうです。
■ 近い存在だからこそ、ぶつかる
家族って、近い存在だからこそ「なんでわかってくれないんだろう」って気持ちになりやすいんですよね。
しかも、親に対する思い入れや、住んでいる場所、生活環境、収入状況なんかも全然違う。
立場が違えば見え方も違うんだから、意見が揃わないのはある意味当然なのかもしれません。
わたし自身は兄弟がいないので、全部自分で決めなきゃいけないプレッシャーがありました。
でも逆に、「人の意見に振り回されることがない」というのは、ある意味気が楽でもありました。
■ 対話をあきらめないことがカギ
上司の話を聞いていて思ったのは、たとえ温度差があっても「対話を続けること」が大事なんだなということです。
話すたびに喧嘩腰になると、相手の本音も聞こえなくなる。
でも、「こうしてほしい」じゃなくて、「わたしはこう思ってる」「こういうことに困ってる」と、自分の気持ちを伝えるようにすると、意外と相手も歩み寄ってくれることがあるんですよね。
■ 情報の共有が歩み寄りのきっかけになることも
それと、情報の共有も大事です。
上司は、ケアマネージャーからもらった資料や、介護サービスの料金表なんかをLINEグループでこまめに送っていたそうです。
はじめは無関心だった妹さんも、「こんなにお金がかかるんだ」とか「こんなサービスがあるんだ」と知ってから、少しずつ話に乗ってくれるようになったとか。
■ 「頼れるのに頼れない」はつらい
介護って、いろんな面で負担がかかります。
時間も、お金も、気力も。
でも、そのすべてを一人で抱え込んでしまうと、いつか限界が来てしまうんですよね。
「頼れる人がいるのに頼れない」状態って、けっこうつらいものです。
それでもどうしても話が通じない、協力が得られない、という場合もあると思います。
そういうときは、「できることをできる人がやる」しかないのかもしれません。
無理に分担を均等にしようとすると、かえってトラブルになります。
■ 「自分の選択」と思えるかどうか
大事なのは、「自分だけが損している」と思わないこと。
たとえ実質的な負担が自分に集中していても、「自分の選択でやっている」と思えれば、気持ちはずっと軽くなる。
わたしの上司も、お兄さんが一緒に住んでくれるようになったわけではないけれど、「いつも助かる」とLINEをくれるだけで、ずいぶん気が楽になるって言ってました。
■ まとめ:ぶつかっても、話し続ける
誰かと比べすぎないこと。
期待しすぎないこと。
そして、気持ちをちゃんと伝えること。
介護は、家族の関係性が試される場面でもあります。
でも、ぶつかりながらでも、対話を続けていく中で、少しずつ理解し合えるようになればいいんじゃないかな、と思っています。
介護の形はそれぞれでも、「大切な人を思う気持ち」はきっと共通しているはずですよね。